「最近、スマホやパソコンの文字がぼやけて見える」「本や書類の文字にピントが合わない」。
特に40代以上の方なら、様々な場面で老眼を実感することがあると思います。
老眼鏡を買いたいと思った時、正しい度数の選び方はわかりますか?
この記事では、業界歴10年以上、延べ1万人以上のお客様のメガネ販売に携わってきた現役メガネ販売員の筆者が、老眼鏡の正しい度数選びに関して徹底解説します。
正しい度数の老眼鏡を選んで、快適なメガネライフを送りましょう。
(この記事で取り上げる老眼鏡とは既製品の商品を指すこととします)
『老眼鏡』度数の選び方
年齢別おすすめ度数
近視・遠視・乱視ではない人 / コンタクトの上から掛けたい方
『遠方の視力が良い人』『コンタクトを着けていて近くが見づらい人』
目的距離30㎝(スマートフォンなど)
年齢の目安 | 度数の目安 |
40歳以下 | +1.0 |
41‐45歳 | +1.0 |
46‐50歳 | +1.5 |
51‐55歳 | +2.0 |
56‐60歳 | +2.5 |
61歳以上 | +3.0 |
目的距離40cm(読書・書類記入など)
年齢の目安 | 度数の目安 |
40歳以下 | +1.0 |
41‐45歳 | +1.0 |
46‐50歳 | +1.0 |
51‐55歳 | +1.5 |
56‐60歳 | +2.0 |
61歳以上 | +2.5 |
目的距離50cm(パソコンなど)
年齢の目安 | 度数の目安 |
40歳以下 | +1.0 |
41‐45歳 | +1.0 |
46‐50歳 | +1.0 |
51‐55歳 | +1.0 |
56‐60歳 | +1.5 |
61歳以上 | +2.0 |
近視・遠視の方
近視・遠視の方は、ご自身のメガネやコンタクトの度数を確認する必要があります。
メガネ購入時のレシートや明細・コンタクト外箱、眼科処方箋などに記載されている【S】【SPH】【球面】などの項目を確認してください(全て同じ意味です)。近視であればマイナス、遠視であればプラスの表記になっているはずです。
例1 | 例2 | 例3 | |
近視 | S-0.50[D] | SPH-1.75[D] | 球面-4.25[D] |
遠視 | S+1.00[D] | SPH+2.75[D] | 球面+3.25[D] |
この度数を下記の表の[S]に当てはめて計算したものが、老眼鏡の度数になります。
目的距離30㎝(スマートフォンなど)
年齢の目安 | 老眼鏡度数の目安 (計算式) | 近視・遠視の度数 | 老眼鏡度数の目安 (例 S-0.50[D]の場合) | 老眼鏡度数の目安 (例 S+1.00[D]の場合) |
40歳以下 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
41‐45歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
46‐50歳 | 1.5+S | S | 1.5+(-0.50)=+1.0 | 1.5+(+1.00)=+2.5 |
51‐55歳 | 2.0+S | S | 2.0+(-0.50)=+1.5 | 2.0+(+1.00)=+3.0 |
56‐60歳 | 2.5+S | S | 2.5+(-0.50)=+2.0 | 2.5+(+1.00)=+3.5 |
61歳以上 | 3.0+S | S | 3.0+(-0.50)=+2.5 | 3.0+(+1.00)=+4.0 |
目的距離40cm(読書・書類記入など)
年齢の目安 | 老眼鏡度数の目安 (計算式) | 近視・遠視の度数 | 老眼鏡度数の目安 (例 S-0.50[D]の場合) | 老眼鏡度数の目安 (例 S+1.00[D]の場合) |
40歳以下 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
41‐45歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
46‐50歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
51‐55歳 | 1.5+S | S | 1.5+(-0.50)=+1.0 | 1.5+(+1.00)=+2.5 |
56‐60歳 | 2.0+S | S | 2.0+(-0.50)=+1.5 | 2.0+(+1.00)=+3.0 |
61歳以上 | 2.5+S | S | 2.5+(-0.50)=+2.0 | 2.5+(+1.00)=+3.5 |
目的距離50cm(パソコンなど)
年齢の目安 | 老眼鏡度数の目安 (計算式) | 近視・遠視の度数 | 老眼鏡度数の目安 (例 S-0.50[D]の場合) | 老眼鏡度数の目安 (例 S+1.00[D]の場合) |
40歳以下 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
41‐45歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
46‐50歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
51‐55歳 | 1.0+S | S | 1.0+(-0.50)=+0.5 | 1.0+(+1.00)=+2.0 |
56‐60歳 | 1.5+S | S | 1.5+(-0.50)=+1.0 | 1.5+(+1.00)=+2.5 |
61歳以上 | 2.0+S | S | 2.0+(-0.50)=+1.5 | 2.0+(+1.00)=+3.0 |
計算結果の小数点以下が、「.25」「.75」になる場合があります。
既製品の老眼鏡では、 「.25」「.75」 の度数は販売されていないこともありますので、その際は計算結果より0.25弱い度数を選ぶようにしましょう。
計算の結果がマイナスになる場合は既製品の老眼鏡では対応ができませんので、眼科やメガネ店に相談するようにしてください。
また、一般に+4.0を超える強さの老眼鏡が既製品で販売されていることが少ないと思いますが、眼科やメガネ店では対応できることがほとんどです。
度数に左右差がある場合、または乱視の方
この記事で取り上げている老眼鏡とは既製品のものであり、左右の度数は同じという前提で話を進めてきました。現在ご利用のメガネやコンタクトに左右差がある場合は、眼科やメガネ店で視力測定を行ってから購入することをおすすめします。また、既製品の老眼鏡では乱視の補正ができませんので、やはり眼科やメガネ店での視力測定・購入がおすすめです。
実際に掛けてみる
上記の[年齢別おすすめ度数]は、あくまでも下記の計算結果に基づいた目安の度数です。
近くにピントを合わせる為の調節力という数値を年齢別に概算したものを基に計算。
おすすめの老眼鏡の度数[D]=1/目的距離[m]-調節力[D]/2
計算結果は、一般的な老眼鏡の度数(0.50刻み)になるように調整をしています。
見え方・ピント合わせの力(調節力)には個人差がありますので、購入前に実際に掛けてみることをおすすめします。
一度、自分に必要な度数がわかると、今後の老眼鏡選びが簡単になり、ネット販売されているような老眼鏡も購入の選択肢に入ってくるかもしれません。
実際に掛けてみるときの注意点
事前に目的の距離を確認しておく
実際に老眼鏡を掛け比べてみるとわかるのですが、より良く見える老眼鏡を選ぼうとすると必要以上に強い度数のものを選びがちです。しかし、必要以上に強い度数は、近い距離ではよく見える反面、見え方に奥行きがなくなってしまいます。
例えば、20cmがよく見えるメガネを選ぶと30cmを見るときはぼやけてしまい、40cmの距離はもっとぼやけます。
事前に目的の距離を確認しておくことで、適切な度数を選ぶことができます。
目的のもの(文字など)の大きさを確認
もうひとつ重要なことは、目的の文字の大きさを確認しておくことです。
目的の距離に上手くピントが合ったとしても、その大きさの文字を見るための視力が無ければ満足のいく見え方にはなりません。
できれば目的のものを店舗に持参して、実際に老眼鏡を掛けて見え方を確認するようにしましょう。もし目的の距離で文字などが上手く見えない場合は、眼科やメガネ店に相談をしてみてください。
目的に応じて老眼鏡を使い分ける
前述したとおりですが、老眼鏡の度数とピントの合う距離には密接な関係があります。
スマホ(30cm)を見るために購入した老眼鏡で、ノートパソコン(50cm)を見ようとするとピントが合いません。ピントを合わせるために画面に顔を近づけるなどの対策が考えられますが、姿勢が悪くなり、疲れや肩こりなどにつながってしまうかもしれません。
より快適に見るためには、目的に応じて別の度数を使い分けることが大切です。
既製品の老眼鏡 メリットとデメリット
メリットは気軽さや安価なところにありますが、既製品の老眼鏡にはデメリットが多いことも事実です。少しでも気になるポイントがあれば、迷わず眼科を受診したり、メガネ店に相談するようにしましょう。ここで挙げたデメリットの部分はほとんど解決することができるでしょう。
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